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2026年2月
リースバックの落とし穴
会社の寿命を縮めることにも…
あらゆる経営コストが上昇するなかで、特に話題に上ることが多いトラックの高額化。運賃転嫁がままならないなかにあって、厳しい経営環境に置かれている運送事業者は少なくない。
一方、投資家や富裕層の節税スキームとしてトラックを利用したファンドへの投資が注目されている。リースバックという形で業界に浸透する一方、利用には注意が必要だ。
車両価格の高騰は、運賃への転嫁が十分ではない運送業界にとって頭の痛い問題だ。運送業の場合、トラックという高額の投資が不可欠。加えて、十分な運賃が収受できていないことから回収し利益を上げるまでに時間がかかる。
こうした課題から、近年、リースバックが運送事業者の資金調達の手段として着目されている。銀行融資を頼れない厳しい経営環境にある事業者にとって、有効な資金調達方法だが、メリットばかりではない。
リスクを理解したうえで活用しなければ、運転資金のために会社の寿命を縮めることになりかねない。
関東地方のトラックディーラーは「倒産した運送会社の車両を調べたら、多くの車両が有名ファンド系会社の名義になっているケースがあった」と語る。一時しのぎのはずが、資金繰りのために常時利用していくという泥沼にはまってしまう。
リースバックは所有者のトラックをリース会社に売却することで、資金化。トラックを引き続き使えるようにリース契約する金融商品。一見メリットが多いようだが、思わぬ落とし穴がある。
特に着目すべきは金利と契約方法だ。
金利は十数%
銀行やリース会社の金利が数%であることに対して、ファンド系リースバックの場合は十数%となることもある。投資後の資金繰りが難しい時期に高い金融コストを払っていては、回収期に入っても累積した赤字を解消する間もなく次の代替え投資に入ってしまう。
契約方法に注意
もう一点注意するべきは契約方法だ。オープンエンド契約であれば、契約書に残価が明記されており、リース満了後に買い取ることができる。それに対し、クローズエンド契約では満了後にユーザーが買い取ることができず、返却か再リースしか選ぶことができない。
リース会社の経営リスクを軽減する理由から、ユーザー側にデメリットが偏る傾向がある。
「あるファンド系のリースバックだが、壊れている箇所をすべて修理してからでなければ返却できないと言われたという話を聞いた」(神奈川県の運送事業者)。
慎重な見極めを
トラックのリースバックが投資商品として着目される背景には中古車価格の高騰がある。投資家や投資会社にとってはトラックを担保にできるためリスクが少ない。
しかし、運送事業者の視点で見た場合、諸刃の剣にもなりかねない。
関東に複数の拠点を持つ運送事業者は、あるファンド系リースバックについて、「複数の金融機関から提案があった。悪いうわさを聞いているのでよく調べた方が良いと伝えた」と話す。
後日、金融機関の営業担当から、「当行とリースバック会社の付き合いは続くが、自分としては薦めないことにした」と連絡があったという。
トラックは運送会社にとって大切な資産。自社に合った最適な活用方法を慎重に見極めたい。
「クローズエンドは回避すべき」
トラックの販売・買取や金融支援を手がけるグリーンベル(川崎市麻生区)の葛西宣行社長は「運転資金の調達にリースバックは有効だが、クローズエンド契約は絶対に回避すべきで、買取条件には注意が必要」と指摘。
「リース満了後の収支の回収期が来ないクローズエンドでは会社は立ち直れない」と注意喚起する。
同社長は、「簿価ではなく時価で査定されればトラックの資産価値を守ることができる」と説明。「当社では、リース期間を長期に組み直すことで財務とキャッシュフローの改善をはかるサービスを金利帯年3.8~6.8%の範囲で提案している」という。
投資家の集金装置へ…出口のない袋小路に
中小運送経営者のアドバイザーを務めるコンサルタントは、「トラックのリースバックは、契約次第では資金繰りに窮した運送会社を投資家の『永続的な集金装置』へと変貌させる、極めて冷徹なスキームであり、投資家のマネーゲームの側面が強い」と指摘。
「地銀やメディアが『財務改善』とうたう裏には、運送会社の命運を握る車両を人質に取られた高コストな調達が進行している」とし、「安易な導入は自立性を奪い、経営を出口のない袋小路へと引きずり込む劇薬であることを自覚すべき」と警鐘を鳴らす。
「契約の精査を」
ワンロジ(東京都新宿区)の吉岡泰一郎社長は、「リースバックは活用次第で資金繰りの一助となる側面もあるが、すべての契約が健全であるとは限らない」とし、「なかには抜本的な解決に至らず、高額な固定費で将来的な破綻を招くリスクが多分に潜んでいる」と指摘。
「地銀などの紹介やテレビCMを妄信せず、最悪の事態まで見据えて契約内容を徹底的に精査することが、会社を守るための最低条件」と注意を促す。
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掲載:「物流weekly」(外部サイト)